ソウルリバース初期攻略

そのまんまです。

ソウルリバース 日記ちょう

 

 セガの新作アーケードゲーム

 情報を知ったのが、だいたい去年の今頃であったろうか。とかく、うろ覚えであるが、ファーストインプレッションが「なんか地味だなぁ」と感じたのはよく覚えている。

 

 当時の職場先、ゲームが好きな知人に話題を振ってみたところ、彼も同じような感想をもっていた。

 

「なんか動きがトロいっすね」

「微妙だよね」

ボーダーブレイクそっくりすけど、ボーダーの方が面白そうす」

「せやな」

 

 僕もセガの「ボーダーブレイク」というゲームは知っており、彼はゲームの熱心なプレイヤーであった。僕は実際に遊んだことは無かったが、特にマッチング画面がそのままである様子までは知っており、おそらく、開発者も同じなのだろうという予測はできた。

 

 ただ上述したように、新作への期待値は高くなく、今年に流れた最新のロケテスト版の動画でも「微妙そう」という感想を得るに至った。

 なにせ中世の鎧兜を着たキャラクターたちが、戦場のMAPをのそのそ移動し、時には歩き、モンハン並の「重さ」を感じさせる動作で攻撃を仕掛け合うのだ。

 ジャンプをしたり、派手なエフェクトの魔法を使ったりするわけでもないので、正直なところ「ゲーセンで金払ってこれやるの?」という印象だった。

  

 それでも、セガの対戦ゲームは、面白い。

 最近は良ゲーをたくさん出している。

 

 それは、現代のネット技術やコミュニティを形成する環境に、上手く適合しているようにも見受けられる。毎秒、数多の情報網が、流星の如く流れては消えていく中で、世間の人々は、マイノリティな〝消え難い方角〟を支持している。そんな状況に、マスとしてハマっていると思うのだ。

 

 セガのゲームは、今の時代に適している。コアなユーザーのみならず、一見の〝わたしが好きなもの〟を求める大勢のプレイヤーたちを、惹き込む魅力を持っている。

 

 この様に書くと、まるでセガ信者のようだが、べつにそういうわけではない。ただ、僕はゲームという媒体が好きで、個人が知る限りの情報を培って、なんとなく現代を俯瞰した気になって見下ろしてみると、そういう雰囲気じみたものを感じる、というだけに過ぎない。

 

 ともあれ、セガという会社に対する印象は(1ユーザーとして)相応に高い。ソウルリバースというゲームに対しても、自分や周囲の前評判は芳しくなかったが、稼働初日に遊びに行った時は、正直なところ、期待していた。

 

 PVは微妙やが、実際、自分で操作してみると、おもろいところも見つかるやろ。

 

 ――そう思っていたのだが、実際は逆であった。

 

俺:
「これは……PVを見た時まんまの、クソゲーではないか……」


 ウォーリアのチュートリアルを終え、じゃあ次はメイジやってみよか。という流れで「対COM戦の神将」に軽く5回以上殺され、横たわった自分のキャラクターが爆発霧散する直前に、


 GPが切れました。コインを入れてください。


 メッセージウィンドウが現れた。うっかり「ナメとんのか」と殺意を抱いた。もちろん冗談だけど、少なくともこのゲームに対する評価、モチベーションは地に落ちた。

 補足すると、これは自分だけのレアケースという訳ではないと思われる。最初のチュートリアルで無難そうな「戦士」を選び、特に面白くもないチュートリアルを繰り返すぐらいなら、さっさとゲームを遊びたいと思うのは常であろう。

 

 お金もかかるなら、どうせなら遊びつつ覚えていきたい。取り扱い説明書なんていらないぜ。それがゲーマーという生き物の性なんだぜ。

 

 そうして僕はウォリアーと同じようなナイトはすっ飛ばし、メイジでスタートしたのである。COMとの摸擬戦ぐらいはなんとかなるだろう――その判断が見事に過ちであったわけだが、そもそもチュートリアルで、神将と戦わせないセガも悪い。

 

 実際、最初のCOM戦では自分と同じような死体があちこちに転がり、神将に挑んでは無残に床ペロ爆散し、復帰して、ラインを上げるものの、神将に辿り着いた瞬間、ボコボコにされる。

 

 この時点で、メイジは生身で神将に挑むべきではない。味方を支援する生き物だ。という事に気づくのだが、肝心のウォリアーらしきプレイヤーも、ボスの神将が放つ一撃で高々と宙を舞い、地面を転がり、あっという間に死んでいく。


 いくらなんでも、ボスが強すぎる。ワケがわからない。

 

 しかしこのボスを倒せなくては、時間切れまでゲームが終わりそうにない。仕方がないので、僕も殴りに参加する。死ぬ。わかっていて、死ぬ他に方法がない。他のプレイヤーも同じ状況であったに違いない。


 おまけに、このゲームはダッシュしていると、あっという間にスタミナが切れる。リスポン後に数秒のダッシュを経て、わざわざ立ち止まり、クソ遅く感じられる歩きモーションに「イラッ……」とするだろう。

 

 特にゲーセンに通っているユーザーは「テンポ」だとか「リズム」を重視する場合は多いはずで、脳みそは率直に「なんでスタミナなんて要素が入ってるんだ」と評価するはずだ。

 

 話は変わるが、往年の名作「ストリートファイター2」を作った製作者は、プレイしていて「気持ち良いか」という要素を大事にしていたらしい。今もネットで検索すれば記事がでる。その中で、たとえばジャンプをする時に、とっさに相手の攻撃を交わせたら「気持ちいい」から、後ろレバーを入れた方が、前にジャンプするより、飛距離が稼げる。といった要素を入れたらしい。

 

 その例えで言うならば、このソウルリバースというゲームは、まったくもって「気持ち良くない」のだ。移動するだけで、立ち止まり、神将を相手にしては吹っ飛ばされ、ダウンし、すぐに死ぬ。情報のない「初心者」の間は、ゲーム中に登場するあらゆる要素が、単純に「ストレス」に感じてしまう。

 

 しかし実際、スタミナというパラメーターは、ソウルリバースにおいて、非常に重要な意味をもっている。

 たとえば、背中を向けて逃げている敵を見つけたとする。相手のHP残量は視覚的に表示されるので、瀕死であると判断したとしよう。

 普通の対戦ゲームなら、特に何も考えず「追う」だろう。

 だがこのゲームにはスタミナがある。これがゼロになると、一定時間行動不能になるのだ。つまり追いかけようにも、現時点で相手のスタミナ量がこちらを上回っていれば、トドメの一撃をくれてやろうにも、無理なのだ。

 次第にゲームに慣れてくると、まず、瀕死状態の相手がどれだけの距離を走ったかを目視し、続けて自分のスタミナ残量を鑑みて、そのプレイヤーの背中を追うか追わないか、自然と判断できるようになる。

 追うのが無理そうであれば、脳は次の状況判断を行う。同じように自然と「次はなにをするべきか……?」を考えていることに気づくのだ。

 それはともすれば、このゲームの舞台である、リアルな中世の戦場の光景かもしれない。その事に気づき、このゲームを作った製作者の意図を知る段階に達すれば「おもしろいじゃないか」となれるのだが、そこに至るまでのハードルが高すぎる。

 
 そのハードルとなる、最大の要因。

 チュートリアルが、クソなのだ。

 
 チュートリアルでは一通りの操作を叩き込まれるが、操作デバイスが特殊なので、一見が覚えるのは困難だ。

 俺は余裕でわかったぞ。という意見もあるだろうが、

 じゃあ、初期装備のメイジやレンジャーで、事前情報も無しに、一撃ライフを9割削ってくる神将とタイマンして勝利し、初回無料のGP最中の間にステージクリアしてみろ。

 断言するが、他ゲーのランカーでも、ほとんど無理だと思う。ランカーが無理なのだから、その他のゲーマーが同じような状況に陥ったら

「なんなんだ、このストレスマッハのクソゲーは? 
 開発者はバカじゃないのか?」

 という感想に辿り着くのは、至って普通のことだと思う。

 家庭版のダークソウル等の「死にゲー」が浸透できた理由はいろいろあると思うが、前提として、追加料金のないパッケージ版を購入し、のんびりと自宅の雰囲気や、友達の家でわいわい言いながら遊ぶから、ボスの無慈悲な一撃を「許せる」のであって、ゲーセンという環境下にわざわざ赴き、新作をワクワクしながら遊ぶプレイヤーを一撃でブチ殺すことを繰り返し、あげくの果てに「追加料金を入れてください」と言われては「フザけんな」となって、席を立つ。

 
 自分は一応、おもしろければ、ある程度はやり込むつもりだったので500円いれてコンテしたのだが、最終的にはメイジで、ガードなしに神将に突撃を繰り返し、A連打で他の味方と一緒に、どうにか削り殺すという展開になった。

 摸擬戦が終わり、まっ先に行ったことが「転職」であったのは
 もはや言うまでもないだろう。俺はウォーリアを選んだ。


 そして、二回目の愕然とする要素であったのが、装備画面である。


俺:
「……めっちゃ項目があるんやが……」


 筋力、耐久とかは、まだわかる。たぶん、戦士にいるやろ。

 んで「霊感」てなんや。なにに影響するんや。メイジ?

 器用さ?? このゲームは、命中率があるんか???

 運????? 運ゲー????? 


俺:
「……なんだこのゲームは……RPGかよ……??」


 おかしい。おかしいぞ。

 俺は確か、セガ新作の対戦アーケードゲームをやりにきたはずだったのに、なぜか外出先で、時間がある時にマイペースで遊ぶRPGゲームをやっている……。セガマジック??

 業界によっては、カテゴリエラー、略して「カテエラ」等と呼ばれる呼称があるが、その時は漠然と「カテエラ」を感じた。


 そういうわけで、初日に「セガの新作アーケードゲーム」を、そこそこ期待していた自分が味わった仕打ちは、

 ① 専用デバイスによる操作を有料で叩き込まれた。

 ② 続けてステージに放り込まれ「死ぬがよい」といわんばかりの
 神将の攻撃を受け、即死を繰り返した結果
 COM戦のステージで、コンティニューを強要された。
 
 ④ 装備画面を見て「RPGなの?」と首をかしげた。

 ⑤ 装備編成に悩んでいたら
   いつのまにかGPがモリモリ減っていた。

 ⑥ 戦士に転職して、もう一度模擬戦闘をやった。
   周りのプレイヤーがバタバタ死んでいくなか、
   無感動に両手斧の強攻撃を当てるだけで、1位が取れた。

 ⑦ コンティニューしますか? →俺は黙って席を立った。
 
 
 こんな感じの流れだった。とにかく、このゲームに関する初見の印象は「最悪」の一言である。帰ってネットを見たら、目につくところは悪評だらけでもあり「せやろな」と納得でもあり、翌日も仕事帰りに500円だけ投入してみるものの「うーん……クソゲーっぽい」という感想はぬぐえなかった。

 何気なくセンモニを操作して、店内ランキングで、1500円を投入した自分が「1位」と表示された時は、リアルに「は?」と声がでた。


 ヤバイ。このゲーム、ヤバイって。

 今年いっぱい存続できねーわ。

 セガ、なんでこんなゲームを作ってしまったんや。


 稼働三日後までに、自分が抱いた感想は、そんな感じであった。


 つづく(おわる)